7月の講習会報告 (重要無形文化財・塩沢織物)
7月のみやび洗しみ抜研精会講習会は
国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に認定された
小千谷縮・越後上布の地、南魚沼市の「やまだ織」専務さまより
「塩沢織物」の特徴を講義していただきました。
「重要無形文化財」に認定される小千谷縮・越後上布の製作は
糸作りから完成までに指定条件の5つを含め、60以上もの工程があります。
1)全て苧麻を手摘みした糸を使用する
乾燥させた苧麻の繊維を口に含んで荒く裂き糸にする。
根を詰めて昼夜行っても1日わずか6gしか出来ない。
1反分の苧積みするのに熟練者でも3~6ヵ月間を要する。
2)絣模様をつける時は「手くびり」によること
3)「いざり機」で織ること
いざり機で絣を合わせるのは難しく、熟練の織子でも1日に15~20cmしか織る事が出来ない。
1反織るのに2・3ヵ月間を要する。
4)しぼり取りをする場合は「湯もみ」「足踏み」によること
5)仕上げは「雪晒し」とすること
天候の良い日に雪上に広げて晒す。太陽熱で雪が解け、
水分が糸目を通して蒸発する際に天然の漂白作用となる。
(経糸に46色の糸を使った塩沢紬)
本塩沢の魅力は何といっても、シボによりデコボコとした風合いが生まれ、独特のシャリ感を生みだすところでしょう。
そのヒミツは強撚糸と呼ばれる「よこ糸」にあり、1mの糸に2千~4千のよりを掛けます。
その為、水に付けると物凄く縮みます。
ですから、しみ抜きをする時も特徴を理解し、適切な処理をしなければなりません。
両端が原寸、真ん中の布が水に漬けたもの
午後からは「日本しみ抜き研究会」の鶴田先生より
「クリーニング科学の基礎」の講義と、現物処理をして頂きました。
鶴田先生には毎年7月の講習会に来て頂いています。
そこで毎回難題な品物の処理をお願いしていますが、
その処理方法を見る事が大変勉強になっています。
2010年07月14日 (13年前)