5月の講習会報告(酵素について)
5月のみやび洗しみ抜研精会では「酵素」について講習と実技実験が行われました。
以前にも「酵素分解」の試験布テスト(こちら) を行いましたが、
そもそも”酵素”とは・・・?
「生体内で作り出されるタンパク質をもとにして構成されている物質」です。
役割として・・・・
「生体でおこる化学反応に対して触媒として機能する分子(化学反応を助ける)」
となっていますが、現代しみ抜きでは
血液・唾液などの体液や、卵(魚卵も含む)、墨(ニカワ)等のしみ抜き剤として使用されています。
”しみ抜き”に関わっていると「ウグイス(フン)」というキーワードが出てきます。
それは、昔から「ウグイスのフン(の中に含まれる酵素)」といえば脱色作用もあるため、
和服の模様抜きやシミ抜きの必需品で、
元禄の頃は真っ赤な長襦袢の模様抜きや、紋付の家紋抜きに欠かせないものでした。
衣類の色を抜いてもまったく生地を傷めないことから、
ウグイスのフンはシミ抜きに使われてきたからです。
今では色々なしみ抜き方法(薬剤)がありますが、
「酵素分解」がしみ抜き法の原点だと言えるのではないでしょうか。
その酵素を有効に使う為に幾つか条件があります。
1、湿度
2、温度
3、pH(水素イオン濃度指数)
4、時間
これら4点を上手く使いこなして酵素のしみ抜きをしますが、
注意しなくてはいけないのが、酵素は加熱されると蛋白が変成して酵素でなくなってしまいます。
一般に酵素が耐えられる温度は50度くらいから、せいぜい70度くらいまでです。
そこを有効に使いこなし、酵素の特性を十分に引き出せる人が「しみ抜きの達人」なのです。
最後に
人間の体内でも酵素の働きは重要ですが、現代人については少し問題があるようです。
上で述べたように「酵素は加熱されると酵素でなくなる」ので、
加熱した食べ物に、酵素の働きはないということです。
このため普段の食生活において、ファストフード等の加熱した食品ばかり食べていると体内酵素不足となっています。
加熱したものばかりたべず、酵素の入っている食品を摂るように心がけなければなりません。
2010年05月04日 (13年前)